相続のご相談

相続は、やらなければならないことがたくさんあって大変です

相続

相続は一生のうちに何度も経験することではありません。
また、お葬式や法事、役所への届出、遺品の整理、債務の処理、遺産の承継等やらなければならないことがたくさんあります。
「役所への届出は、役所に行ったら窓口を次々に案内してもらえたので何とかできた。でもそれ以外の手続きは何をどこでどうすればよいのか、誰に頼めばよいかもわからない。やらなきゃいけないことがたくさんあることだけはわかっているんやけど。」相続の相談でよく耳にするフレーズです。

そのフレーズに続けて、
「でも、ちょっと疲れたので、手間のかかる難しい手続きについてはお願いしたい」とおっしゃられる方と、「まあ、バタバタしている方が気が紛れてよいので、自分でできるだけやってみたい。その前に手続きの概要を教えて欲しい」とおっしゃられる方に分かれます。

当事務所では、不動産の名義変更(相続登記)はもちろん、預貯金、株式、生命保険金等の請求などの遺産承継手続きについてもお手伝いさせていただいております。
また、ご自身でできる手続きについては自分でやってみたいという方のために、相続手続に関する情報提供や簡単なアドバイスもさせていただいております。
どうぞお気軽にご相談ください。

遺産相続の流れ

一般的な遺産相続の流れは、次のとおりです。

相続人の確定

まず、戸籍謄本等(戸籍・除籍・改製原戸籍の謄本)を収集して誰が法定相続人になるのか確認します。
その際に必要となる戸籍謄本等は、被相続人(亡くなられた方)の出生から死亡までのすべての戸籍謄本等および相続人全員の現在の戸籍謄抄本になります(相続人が多い場合はもちろん、相続人が少ない場合でも被相続人が他都市に引越しをするたびに戸籍も移動している場合など、収集する戸籍謄本等が10通以上になる場合もあります。)。
そして、戸籍謄本等から判明した法定相続人について、相続放棄や相続欠格によって相続権を失った方や、相続権を失った方の代わりに新たに相続権を得ることになった方がいないかを確認し、相続人を確定します。
「相続人が誰か明らかなのに、わざわざ戸籍を集める必要があるのだろうか」とお考えになるかもしれませんが、収集した戸籍謄本等は預貯金の名義変更・解約払戻しや不動産の相続登記等の手続きを進める際にも必要になりますので、収集して無駄にはなりません。

相続財産の確認

相続財産には、大きく分けて「現金」「預貯金」「不動産」等のプラス財産と、「借金」「債務」等のマイナス財産があります。
被相続人の財産は、原則、プラスマイナスすべての財産が相続の対象になりますので、その有無や内容について確認する必要があります。
「預貯金」については、被相続人の通帳が残されていないか確認し、通帳がある場合はATMで記帳(通帳記入)すれば楽に残高が確認できます。通帳は見当たらないが口座が残っているかもしれないという場合は、当該金融機関に取引の有無について照会し、取引があるようなら被相続人逝去の日付の残高証明を請求することで正確な残高を知ることができます(残高証明の発行には手数料がかかりますので、必要に応じて請求してください)。なお、被相続人の取引金融機関に亡くなったことを伝えると、当該金融機関にある被相続人の口座は凍結されます。当該口座が公共料金等の引き落とし口座になっている場合には、ご注意ください。
「不動産」については、被相続人に届いた固定資産税の納税通知書や市役所等で取得した名寄帳(ある市区町村で同一の所有者が有している不動産の一覧表のようなもの)で、被相続人所有の不動産を確認します。
「借金」「債務」については、契約書やクレジットカードの明細、被相続人の預貯金通帳の明細にある引落しの内容、被相続人宛ての請求書・督促状等の郵便物等が参考になります。CIC、JICC等の信用情報機関に個人信用情報の開示を求めるのも一つの方法です。

遺言の有無の確認

遺産分割を行う前に、被相続人が遺言書を残しておられないか確認しておく必要があります。
有効な遺言書がある場合は、遺言の内容が優先されるので、遺産分割協議をする必要がなくなる場合が多いです。
なお、法務局の保管制度を利用していない自筆証書遺言が見つかった場合には、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に検認の申立てをする必要があります。

相続方法の選択

確認した相続財産の内容をもとに、単純承認、限定承認、相続放棄のいずれかの相続方法を選択します。
マイナス財産がどれだけあるかはっきりわからないが、プラス財産が残る可能性がある場合は「限定承認」、プラス財産よりマイナス財産が多い場合は「相続放棄」について検討することになります。
この相続方法の選択は、相続があったことを知ってから3か月以内にする必要があります(限定承認と相続放棄については、家庭裁判所に申立てをする必要があります)。
なお、相続財産の調査・確定に時間がかかるなどの理由により、どの相続方法を選択するか3か月以内に決定できないというような場合には、家庭裁判所に申立てをして、期間を伸長してもらうことができます。

単純承認

債務を含めてすべての相続財産を引き継ぐ形になります。相続人になり、特になにも手続きをしなければ、この単純承認となります。借金などのマイナスの財産が多い場合、相続放棄をしようとしたら、手続き期限が切れていた単純承認となってしまっていたということもありますので、注意が必要です。

限定承認

債務や遺贈を相続によって得た財産の限度までとして、承継する手続きです。被相続人の債務がいくらあるかわからないが、債務があっても財産が残る可能性がある場合に、相続人が相続によって得た財産の限度で被相続人の債務の負担を受け継ぐ相続の方法です。

相続放棄

マイナスの財産がプラスの財産よりも多かった場合は、自分に相続があることを知ってから三か月以内に管轄する家庭裁判所に相続申述書を提出しなければなりません。家庭裁判所に相続放棄申述書を提出すると、家庭裁判所から照会書が届きます。これには相続開始を知った日や、相続財産の内容についての質問が載っています。これに対して、間違った答えをしてしまうと、相続放棄が受理されません。借金があった場合、相続するハメになってしまいます。相続放棄に失敗しないために お早めのご相談ください。

遺産分割

被相続人の遺言によって相続財産の分配が確定しない場合で、複数の相続人がいるときは、相続財産をどのように分割するか相続人の間で話し合って決める必要があります。これを遺産分割協議といいます。
遺産分割協議により相続の内容が決まったら、遺産分割協議書を作成して、相続人全員が署名・実印を押印し、印鑑証明書を添付します。

名義変更等の手続き

遺言書や遺産分割協議書の内容に従って、必要な名義変更を行います。
相続財産に土地・建物がある場合は、被相続人から名義を移す相続登記をします。また、預貯金がある場合は、各金融機関で名義変更や解約払戻しの手続きすることになります。その他、株式などの有価証券や自動車などについても名義変更手続きをします。
相続登記の義務化
令和6年4月1日より開始されます。相続登記が義務化されると、土地所有者が亡くなった際に亡くなった方の配偶者や子供といった相続人は、取得を知ってから3年以内に相続登記することが必要になります。正当な理由なく怠れば10万円以下の過料が科されます(罰則の適用は、取得が明らかなのに申請を怠るなど悪質なケースが想定されます)。

相続のよくある質問FAQ

不動産の名義人である父親が亡くなったのですが、登記手続きが必要ですか?
相続登記の手続きが必要となります。
相続登記とは、被相続人(亡くなられた方)の不動産に関する登記名義を、相続人(亡くなられた方の配偶者や子供など)名義に変更する登記のことをいいます。
不動産に関する権利のうち登記をすることができるものとして、所有権のほか地上権、(根)抵当権などがありますが、これらの権利に関し被相続人名義の登記がある場合には、相続登記が必要となります。
また、被相続人が(根)抵当権の目的である債権の債務者になっている場合は、(根)抵当権の債務者の変更登記が原則必要となります。
手順としては、【1】被相続人の出生から死亡までの間の戸籍・除籍・改製原戸籍の謄本および相続人全員の戸籍謄抄本で相続人を確定し、【2】遺言書の記載や遺産分割協議などにより具体的な不動産に関する権利(義務)の分配が定まり、【3】その分配結果をもとに当該不動産所在地を管轄する法務局に相続登記の申請をする、という流れになります。
借金だけを除いて相続することはできないと耳にしましたが、そうすると、相続財産について明らかに借金の方がプラス財産より多い場合にも、相続人は被相続人(亡くなられた方)の借金返済義務を承継するしかないのでしょうか?
確かに借金などのマイナス財産だけを除いてプラス財産のみ相続することはできませんが、相続放棄すれば、プラス財産を一切承継できないことにはなるものの、借金などのマイナス財産も一切承継しないで済みます。
そのため、借金などのマイナス財産がプラス財産より明らかに多い場合で、特に相続したいまたは相続しなければならないプラス財産(例:先祖伝来の土地)がない場合には、相続放棄は有効な手段となります。
ただ、相続放棄するには、一定の期間内に管轄する家庭裁判所に相続放棄の申述をする必要があります。遺産分割協議で他の相続人に「自分は一切相続しない」と表明しただけでは相続放棄したことにはなりませんので、十分ご注意ください。
相続放棄するにはどうすればよいですか?
相続放棄するには、相続が開始した後(被相続人が亡くなられた後)に、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に相続放棄の申述をする必要があります。
この相続放棄の申述は、原則として、相続人が自己のために相続があったことを知ったときから3か月以内にしなければなりません。この期間内に相続放棄の申述しなかった場合、単純承認したものとみなされ(期間内に限定承認をした場合を除く)、被相続人のプラス財産もマイナス財産も相続することになります。
また、相続財産の一部または全部を処分した場合も、単純承認したものとみなされ、相続放棄をすることができなくなってしまいますのでご注意ください。
相続放棄の申述は、家庭裁判所の審判を経て受理されます。相続放棄の効果により、相続放棄した方は、はじめから相続人でなかったことになり、被相続人のプラス財産もマイナス財産もすべて相続しなかったことになります。
なお、少し細かいことですが、相続放棄をした相続人について代襲相続は生じませ ん。例えば、被相続人Aについて、Aの子Bが相続放棄した場合、Bの子C(Aの孫)がBに代わってAの財産を相続することはできません。
被相続人A - 子B(相続放棄) - 孫C(Aの財産を相続すること不可)
相相続放棄したのですが、生前に被相続人(亡くなられた方)から預かった相続財産の一部が手元に残ったままになっています。相続放棄をしても管理する必要はあるのでしょうか?
相続放棄した方も、他の相続人となられた方が相続財産の管理を始めることができるようになるまで、管理を継続する義務を負います。
ただ、管理にあたっては、自己の財産におけるのと同一の注意義務(管理する方の注意能力に応じた具体的・個別的な注意義務)を負うに過ぎず、善良な管理者の注意義務(管理する方の具体的な注意能力に関係なく、一般に管理する方の属する職業や社会的地位に応じて通常期待される程度の抽象的・一般的な注意義務)までは負いません。
相続放棄をしたのですが、相続放棄を撤回することはできますか?
相続放棄すると、その相続放棄を撤回することはできません。撤回を認めると相続放棄の効力を信じた他の相続人や相続債権者などを害する恐れがあるからです。
ただし、第三者の詐欺・脅迫によって相続放棄した場合や成年被後見人が相続放棄した場合など法律行為の取消しの要件を満たす場合については、相続放棄を取り消すことができます。
相続人が誰もいない場合、相続財産はどうなりますか?
相続人の存否が不明な場合(相続人がいない場合も含む)には、その相続財産は法人として扱われます。これを相続財産法人といいます。相続財産法人は、相続財産管理人によって管理されますが、この相続財産管理人は、利害関係人(受遺者(遺贈を受けた人)や債権者など)または検察官の請求により、家庭裁判所が選任します。
選任された相続財産管理人は、相続人の捜索、債権者や受遺者に対する弁済などを行いますが、相続人の不存在が確定し、相続財産の清算が終了してもなお残余財産が生じる場合、その残余財産は国庫に帰属します。
ただし、次の例外があります。
【例外1】 相続人と特別な縁故のあった方(特別縁故者といいます。例:内縁の妻や夫、被相続人の療養看護に努めた方など)が、一定の期間内に家庭裁判所に申し立てをし、それが認められると、その特別縁故者に相続財産の一部または全部が分与されます。これを特別縁故者への財産分与といいます。
【例外2】ある相続財産が、被相続人Aと第三者Bの共有であった場合に、Aの相続人・特別縁故者双方が存在しないことが確定すると、Aの共有持分については、他の共有者であるBが取得することになります。

相続の費用一覧Fee

相続に関する費用につきましては、以下をご参照ください(具体的な案件の内容や難易度、物件の数などにより費用が増減することもありますので、あくまで概算額となります)。
また、報酬額には、消費税および登録免許税や印紙代などの実費は含まれておりませんので、ご了承ください。なお、お見積は無料です。

相続登記

相続関係調査(相続証明書取得) 1通2,000円 <実費>
●戸籍謄本1通450円
●除籍・改製原戸籍各謄本1通750円
●住民票の写し1通300円程度(自治体により異なる。)
相続関係説明図作成 20,000円~ <加算>
■相続人の人数により加算有り
遺産分割協議書作成 20,000円~ <加算>
■難易度により加算有り
相続による所有権移転登記 50,000円~ <実費>
●登録免許税:固定資産税評価額の4/1000
<加算>
■不動産の個数により加算有り
■管轄法務局の数により加算有り
事前閲覧(登記情報提供サービス利用) 1情報1,000円 <実費>
●1利用につき335円
全部事項証明書取得 1通1,000円 <実費>
●全部事項証明書1通500円

相続放棄

相続関係調査(相続証明書取得) 1通2,000円 <実費>
●戸籍謄本1通450円
●除籍・改製原戸籍各謄本1通750円
●住民票の写し1通300円程度(自治体により異なる。)
申述書作成 30,000円~ <加算>
■放棄する人の人数により加算有り

限定承認

相続関係調査(相続証明書取得) 1通2,000円 <実費>
●戸籍謄本1通450円
●除籍・改製原戸籍各謄本1通750円
●住民票の写し1通300円程度(自治体により異なる。)
申述書作成 80,000円~ 注)相続人全員が共同して行う必要がある。
<加算>
■放棄する人の人数により加算有り